コラム

COLUMN

毎日の有酸素運動で高血圧症を予防・改善しましょう。

高血圧症は患者が推定約4,300万人と、国内で最も患者数が多いといわれる病気です。

高血圧症は、食事や運動といった生活習慣を見直すことで予防したり、改善したりすることが期待できます。しかし、中にはこうした不安を感じている方もいるかもしれません。

・ 運動習慣がないから、何をすればいいか分からない
・ どのくらい運動すればいいのか、頻度や時間を知りたい
・ 運動すると、余計に血圧が上がるのではないかと心配

そこで今回は、食事療法や薬物治療と共に高血圧症の治療の基本とされる、運動療法について解説します。

なぜ、高血圧症に運動療法が効果的なの?

運動療法は、ふたつの理由から高血圧症の改善が期待できます。

ひとつは、血管の健康やしなやかさの維持・改善につながる「血管内皮機能の改善」、もうひとつは血圧を下げる「降圧効果」です。

習慣的な運動は、上の血圧(収縮期血圧)を2~5mmHg低下させ、下の血圧(拡張期血圧)を1~4mmHg低下させる効果があるとされています。さらに、運動によって身体活動量を増やすことが、血圧を低下させることにつながることも期待できます。

高血圧症の運動療法には、一般的に推奨されている運動種目や強度、時間、頻度があります。具体的にどのように運動を始めればいいのか、ご紹介しましょう。

高血圧症の治療や予防に適した運動とは?

ここでは、運動療法に適した運動種目や強度、運動習慣がない方向けの始め方について解説します。
 

ウォーキングをはじめとした有酸素運動をしよう

高血圧症の予防や治療には、有酸素運動が推奨されています。

具体的にはウォーキング(速歩)やスロージョギング、ランニング、踏み台昇降のようなステップ運動です。強度は、少し息が弾む程度で、ややきついと感じるくらいの中等度が適しているとされています。

一般的に、習慣的な有酸素運動には、収縮期血圧を3.5mmHg低下させ、拡張期血圧を2.5mmHg低下させる効果があるとされています。

高血圧症の診断を受けている患者においても、収縮期血圧を8.3mmHg低下、拡張期血圧を5.2mmHg低下させる効果が期待できます。
 

運動不足の人は日常生活で身体を動かすことから

これまで運動する習慣がなく、急にウォーキングやスロージョギングを始めることが困難な場合は、日常生活でこまめに体を動かし、身体活動量を増やすことから始めると良いでしょう。

たとえば、次のようなことで身体活動量を増やせます。

・ 掃除や片付けをする時間を増やす
・ エスカレーターではなく階段を使う
・ 近くの買い物は自転車や徒歩で行く
・ 自分で洗車する
・ 子どもと体を動かして一緒に遊ぶ

急な運動で身体に大きな負担を与えないよう、自分のペースで始めることが大切です。

高血圧症の方に推奨する運動の頻度や時間帯

ここでは高血圧症の治療や予防に適した運動の頻度や時間の目安のほか、避けたほうがいい時間帯について解説します。
 

運動はできれば毎日、1日30分以上が目安

運動は定期的に、できれば毎日することが大切です。時間は1日あたり30分以上、あるいは1週間あたり180分以上を目安にすると良いとされています。

運動に慣れていない人は1日あたりの時間を短めにして、慣れてきたら1日30分以上の運動ができるように目指しましょう。

まとまった運動時間がとれない場合は、1回につき少なくとも10分以上の運動を、1日トータルで40分以上することが推奨されています。

「休日だけ運動する」というように、できるときにしか運動しないのでは、高血圧症予防や治療につながりませんので、自分のペースで習慣化させることが大切です。
 

運動を避けた方がいい時間帯はある?

運動を習慣化させるというと、早起きしての早朝ウォーキングやランニングを想像する人がいるかもしれません。しかし、起床してすぐの時間帯は運動を避けた方がいいとされています。

血圧は1日の中でも変動し、起床時にはゆるやかに上昇します。そのため、起床してすぐに運動すると、さらなる血圧上昇を招いて身体に負担をかけるおそれがあるので気を付けましょう。

高血圧症の運動療法をするときの注意点

高血圧症の治療や予防のために運動する際は、次の3点に注意しましょう。
 

運動の前後にストレッチをする

ウォーキングやランニングといった有酸素運動の前後にストレッチを取り入れると、ケガ防止につながるほか、血流を良くしたり、関節の可動域を広げたり、筋肉の弾力性を高めたりといったことが期待できます。

ストレッチは、ケガや痛みが発生しやすい部位を中心に行いましょう。

さらに、補助的に筋力を維持するためのレジスタンス運動も行うことが推奨されています。レジスタンス運動とはいわゆる筋力トレーニングのことで、スクワットやダンベルやゴムバンドを使った運動などを指します。
 

急に激しい運動をしない

運動に慣れていない人が急に強度の高い運動や長時間の運動を始めると、体を痛めたり、運動事故を起こしたりするおそれがあるので避けましょう。

あわせて、体調が悪い日に無理して運動することや、天候が悪い日に野外で運動することも控えてください。
 

メディカルチェックを受ける

運動療法を始める際には、事前に医療機関でメディカルチェックを受けましょう。メディカルチェックとは、血圧測定や心電図といった、さまざまな医学的検査のことです。

メディカルチェックを受けて心不全などの心血管合併症がないことを確認し、運動療法ができると分かったうえで、自分に合った運動量を設定しましょう。

「いしざき脳神経内科」にご相談ください

いしざき脳神経内科では、高血圧症を含む内科・生活習慣病の診療を行っています。運動療法や栄養指導など、生活習慣の改善やアドバイスも可能です。

さらに、当院には神経内科もあり、脳卒中専門医である院長による脳卒中や心筋梗塞を起こさないための高血圧管理を行っています。また、今後は頸動脈エコーの検査も導入する予定です。

高血圧症をそのままにしておくと、動脈硬化が進行して脳卒中といった重大な病気のリスクを高めるおそれがあります。

脳卒中・心筋梗塞の予防や、運動療法を含めた高血圧管理について、ぜひ一度、当院へご相談ください。

当院は予約制で診療をしております。
受診される際はまずはお電話にてご連絡ください。