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肥満症とは?診断基準や原因、肥満との違いを解説

「最近、体重が増えた」「医師から肥満について注意を受けた」という方は少なくありません。肥満者の割合は特に男性で増加傾向にあり、40代では39.7%、50代では39.2%に該当します。

「肥満」と似た言葉に「肥満症」がありますが、ふたつの違いをご存じですか?肥満症と診断された方は、医療機関で治療を受ける必要があります。

そこで今回は、肥満症の定義や診断基準、そして肥満症の主な原因について解説します。

肥満と肥満症の違い

肥満は体重が多いだけではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態のことをいいます。具体的には、BMI(体格指数)が25以上の場合は肥満と定義されています。

肥満はいわゆる太っている状態ですが、病気ではありません。一方で、肥満症は病気です。そのため、医学的な減量治療を受ける必要があります。

BMI値の求め方と肥満度の分類
BMIとは、肥満や低体重(やせ)の判定に用いる国際的な体格指数です。次の計算式で求められます。

・BMI=[体重(kg)]÷[身長(m)×身長(m)]

たとえば、体重70kgで身長が174cmの方の場合のBMIは、約23.3となります。

・[70(kg)]÷[1.74×1.74]≒23.3

BMI18.5未満は「低体重(やせ)」、18.5以上~25未満は「普通体重」、25以上が「肥満」になります。BMI25以上の場合は、さらに細かく肥満度が分類されます。

・肥満(1度)…BMI25~30未満
・肥満(2度)…BMI30~35未満
・肥満(3度)…BMI35~40未満
・肥満(4度)…BMI40以上

BMIが22になるときの体重が、最も病気になりにくいとされています。一方でBMIが25を超えると、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクが2倍以上高まる可能性があります。

肥満症の定義と診断基準
『肥満症診療ガイドライン 2022』では、肥満症を「肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする疾患」と定義しています。また、BMIが35以上の場合は高度肥満症となります。

ガイドラインによる肥満症の診断基準は次のとおりです。

1)BMIが25以上である
2)減量を要する健康障害がある場合
3)減量を要する健康障害をともないやすい高リスク肥満
4)腹部CT検査によって内臓脂肪型肥満と確定診断された場合

1に当てはまるうえで、2~4のいずれかに該当する場合は肥満症となります。内臓脂肪型肥満と診断された場合は、 現在は健康障害をともなっていなくても肥満症と診断されます。

肥満症の診断に必要な健康障害とは
肥満症の診断基準にある「肥満症の診断に必要な健康障害」は、全部で11種類あります。これらのうち、ひとつでも当てはまる場合は肥満症と診断されます。

1)耐糖能障害 (2型糖尿病・耐糖能異常など)
2)脂質異常症
3)高血圧
4)高尿酸血症・痛風
5)冠動脈疾患
6)脳梗塞・一過性脳虚血発作
7)非アルコール性脂肪性肝疾患
8)月経異常・女性不妊
9)閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
10)運動器疾患 (変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)
11)肥満関連腎臓病

内臓脂肪型肥満とは?
内臓脂肪型肥満とは、腸のまわりに脂肪が過剰に蓄積している状態です。下半身よりウエストに脂肪がたまるため、リンゴ型肥満と呼ばれることもあります。

腹部CT検査などによって内臓脂肪面積が100平方センチメートルを超えている場合は、内臓脂肪型肥満と診断されます。また、へその高さで測る腰回りの大きさが「男性85cm以上」「女性90cm以上」かどうかで簡易的にチェックすることも可能です。

内臓脂肪の蓄積を防ぐことは、生活習慣病の予防につながると考えられています。

肥満・肥満症の主な5つの原因

肥満や肥満症の発症には、食生活のほか、社会・環境による要因も関係しています。

原因【1】食生活
脂質の摂り過ぎなどによる過剰なエネルギー摂取は、肥満や肥満症の原因になります。また、砂糖入り甘味飲料、低カロリー甘味料も、肥満のリスクを高めるとされています。一方で、全粒穀類や食物繊維などは肥満を抑制する可能性があるとされています。

また、朝食を食べない人は過食しやすいため、太りやすい傾向があります。早食いや多量飲酒も肥満との関連性が指摘されているので、注意が必要です。

原因【2】身体活動
デスクワークをはじめ、座っている時間が多い方は、身体活動量が少ないため、肥満や肥満症になりやすい傾向にあります。ガイドラインでは、テレビの視聴時間は男女を問わず、肥満度と関連していると報告されています。

一方で、生活活動を含めた身体活動を増やすと肥満の抑制につながります。

原因【3】睡眠
睡眠不足になると空腹感が増したり、食事の回数や摂取カロリーが増えたりするため、肥満や肥満症になりやすいとされています。下記の「睡眠時間別の肥満者の割合」からも分かるとおり、睡眠時間が短すぎても長すぎても肥満になる可能性があります。

・6時間未満…33.3%
・6時間~7時間未満…28.4%
・7~8時間…22%
・9時間以上…26.3%

肥満者の割合が最も少ない睡眠時間7~8時間を意識して、適度な睡眠をとりたいですね。

原因【4】ストレス・不安など
仕事のストレスや不安といった心理的要因や、社会経済状況が脳に影響を与え、代謝面に変化を与える可能性があります。また、体重が減少しにくい人ほど起床1時間後にストレスホルモンと言われる「コルチゾール」の濃度が高いことも分かっています。

女性や肥満者は、ストレスによって過食に陥りやすい傾向にあるため、慢性的なストレスが肥満や肥満症の原因なっていることもあるでしょう。

原因【5】加齢
加齢にともない女性ホルモンのエストロゲンや、男性ホルモンのアンドロゲンが減少すると、体脂肪が増加しやすくなるため、肥満や肥満症の原因になることがあります。

エストロゲンが減少すると、女性は腹部や内臓脂肪が増加する傾向です。アンドロゲンが減少すると、男性は総脂肪量や腹部脂肪量が増えやすいとされています。

肥満者は男女ともに30代で急増し、40代でも増加すると報告されています。

肥満や肥満症にお悩みの方は「いしざき脳神経内科」へ

肥満は食べ過ぎや運動不足が原因だから自己責任と、自分を責めてしまう方がいるかもしれませんがその考えは誤りです。ご紹介した通り、加齢や仕事のストレスなどが肥満の原因になることもあるので、現代人の肥満は自己責任ではないと考えられています。

しかし、肥満をそのままにしていると健康障害の心配がある肥満症になるリスクが高まるのも事実です。体重増加やお腹の脂肪が気になり始めた方は、今後の健康のためにも医師へ相談しましょう。

当院の内科・生活習慣病外来では、肥満や肥満症の方への栄養指導・運動療法のほか、生活習慣のアドバイスも行っています。ぜひ、お気軽に当院へお越しください。

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