コラム

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糖尿病の初期症状とは?合併症が進行する前に早期発見を

糖尿病は現代の国民病ともいえる身近な病気で、とりわけ50代以上の人に多いといわれています。厚生労働省の調査によると、20歳以上で糖尿病が強く疑われる割合は、男性19.7%、女性10.8%と決して少なくない数値です(※)。

糖尿病に初期段階で気づき、早めに治療を受けるにはどうすればいいのでしょうか?今回は糖尿病のメカニズムや症状、合併症についてご紹介します。

※国民健康・栄養調査報告(令和元年)、ヘモグロビンA1c値が6.5%以上の人を参考。

糖尿病とは?

糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気です。インスリンが十分に働かない原因は「インスリン分泌低下」と「インスリン抵抗性」のふたつがあります。

【インスリン分泌低下】
膵臓の機能低下により、十分なインスリンを分泌できなくなる状態。

【インスリン抵抗性】
膵臓から血液中にインスリンが分泌されているにもかかわらず、作用を発揮できない状態。

糖尿病患者の大多数を占める2型糖尿病
糖尿病にはいくつかの種類がありますが、大きく「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に分類できます。大多数を占めているのは2型糖尿病で、一般的に「糖尿病」という場合は2型糖尿病を指すことが多いです。

2型糖尿病は、遺伝的要因によるインスリン分泌能の低下に、環境的要因によるインスリン抵抗性が加わり発症することが多いです。環境的要因とは、食べ過ぎや高脂肪食、運動不足、ストレスや、これらの結果による肥満を指します。

2型糖尿病の初期症状とは?

通常、糖尿病は症状がなく、初期段階で気づくことが難しい病気です。

こう言うと「糖尿病になると体重が減ると聞いたことがあるが、初期症状ではないのか?」と感じる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、下記の症状があらわれている場合は、すでに血糖値が高くなっている可能性があります。

・喉が渇く
・水をよく飲む
・尿の回数が増える(頻尿)
・体重減少
・だるい、疲れやすくなる……など

次の症状は糖尿病の合併症の疑いも
糖尿病を放置すると目や腎臓などに合併症があらわれるほか、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高まります。下記の症状がみられる場合は、糖尿病の合併症の疑いがあります。

【手足のしびれ・痛み】
糖尿病の方に最も多い合併症のひとつである、糖尿病神経障害の疑いがあります。高血糖によって末梢神経の代謝に異常をきたすと、不要物が溜まったり、血流が低下したりすることで神経障害が起こります。感覚の異常によって、ガラスや画びょうを踏んでも気づかないことがあります。

【立ちくらみ・ふらつき】
糖尿病神経障害のひとつである、自律神経障害の疑いがあります。汗をかかなくなる、乾燥肌になる場合や便秘や下痢も自律神経障害の症状と考えられます。

【目がかすむ・視野がかける・視力が落ちる】

眼の奥にある網膜で血管障害が起こる、糖尿病網膜症の疑いがあります。放置すると失明の原因になることがあります。

【足のむくみ】
腎臓が傷んでしまうことで発症する、糖尿病腎症の疑いがあります。

【傷が治りにくい・感染症にかかりやすい】
血糖値が高い状態が長く続くと、体の抵抗力が低下します。その結果、細菌に感染しやすくなったり、傷口が化膿しやすくなったりします。

糖尿病予備群の方もご注意

血糖値が正常よりは高くなってきており、2型糖尿病になる前の段階にあたる状態を「糖尿病の境界型」や「糖尿病予備群」と呼びます。先述のとおり、糖尿病の初期段階は症状がないため、予備群の段階から予防に努めることが大切です。

糖尿病予備群の方は、正常型の6~20倍も多く糖尿病を発症するといわれています。また、糖尿病予備群でも心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクが高まるため注意が必要です。

健康診断で糖尿病予備群といわれたら、過食しないよう注意するとともに、高脂肪な食品の摂取を制限します。あわせて、ウォーキングなどの運動習慣もつけましょう。肥満の方は、体重を現在から5%減らすように体重管理を行うことも予防につながります。

早めに医療機関へ相談を

糖尿病は自然に良くなったり、止まったりしない病気であり、合併症の多くは進行性です。体重減少や頻尿、立ちくらみなど、糖尿病の疑いがある症状を自覚している場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
糖尿病は早期発見できれば、インスリン注射を使い、血糖管理を良好に保つことでインスリンの作用不足が改善される場合があります。さらに、食事療法や運動療法の継続によって、薬をやめたり減らしたりすることができる見込みもあるとされています。

当院の内科・生活習慣病外来でも糖尿病の診療を行っており、栄養指導や運動療法などのアドバイスもいたします。地域のかかりつけ医として、患者さんひとりひとりのお悩みやお困りの症状を伺いますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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