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動脈硬化ってどんな病気?プラーク・原因・予防・頸動脈エコー検査について

自覚症状がなく進行することから、「サイレントキラー」と呼ばれる動脈硬化。日本の総死亡の約23%は、動脈硬化性疾患(特に心疾患や脳血管疾患)が占めています。

また、「令和2年静岡県人口動態統計」によると、静岡県では死因の第2位が心疾患、第4位が脳血管疾患となっており、動脈硬化の予防や早期発見を心がけることが大切です。

そこで今回は、動脈硬化が起こるメカニズムや原因、予防策や早期発見に役立つ頸動脈エコー検査について解説します。

動脈硬化ってどんな病気

動脈硬化とは、ゴムのようにしなやかで弾力がある血管が、硬く、狭く、もろくなる病気のことです。

動脈硬化は「アテローム性動脈硬化/粥状動脈硬化」「メンケベルク型動脈硬化/中膜硬化」「細動脈硬化」と、3つのタイプに分けられます。一般に動脈硬化というときは、アテローム性動脈硬化であることが多いです。

アテローム性動脈硬化は、おかゆのようなドロドロとした病変(アテローム)が血管壁につくられるのが特徴です。心臓の冠動脈、大動脈のほか、脳・頸部・腎臓・四肢の動脈などでよく発生します。

そもそもなぜ動脈硬化が起こるのか、メカニズムを解説しましょう。

何らかの原因で血管内皮細胞が傷つくと、そこに血中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が入り込みます。すると、白血球の仲間が血管の中に入り込み、悪玉コレステロールを食べて排除しようとします。こうして、血管の中にたまった残骸や残ったコレステロールによってつくられるのがプラーク(動脈硬化巣)です。プラークはコブのようなかたまりなので、血管を狭くしてしまいます。その結果、血流が悪くなったり、酸欠や栄養不足に陥ったりすることがあります。

さらに、プラークが大きくなって慢性的な炎症も続くと、破裂するリスクが高まります。プラークが破裂すると、傷を修復するためにかさぶたのようなもの(血栓)ができます。血栓ができると、さらに血管がふさがれるため、心疾患や脳血管疾患を引き起こすおそれがあります。

つまり、プラークの破裂を予防することが動脈硬化治療のポイントになるのです。

動脈硬化の原因になりやすい危険因子

加齢は、動脈硬化性疾患の最も強い危険因子です。また、喫煙や飲酒、肥満、脂質異常、高血圧も動脈硬化を引き起こす危険因子になるおそれがあります。

糖尿病も、動脈硬化性疾患の重大な危険因子です。糖尿病と診断されるほどの高血糖ではないものの、血糖値が正常より高い状態にある耐糖能異常も動脈硬化のリスクを高めるおそれがあります。

これらに思い当たりがある方や、健康診断で指摘されたことがある方は、かかりつけ医に相談してみると良いでしょう。

動脈硬化を予防するには?

動脈硬化の予防に役立つ、生活習慣の見直しポイントを解説します。

飲酒

動脈硬化予防のためには、多量飲酒を避けましょう。過度のアルコール摂取は、高血圧や肥満を引き起こす原因になります。

自分に適した飲酒量は、医師に1回あたりの飲酒量や休肝日の有無、飲酒する頻度などを伝えることで確認できます。ぜひ、かかりつけ医に相談してみましょう。

禁煙
喫煙は動脈硬化や血栓の形成が進む原因となるため、1日1本の喫煙でもリスクが高いとされています。また、受動喫煙によって周囲の人の冠動脈疾患や脳卒中などのリスクを高めるおそれがあります。こうしたことから、動脈硬化予防に禁煙は必須とされています。

市販のニコチンガムの活用や、歯磨きや散歩などで吸いたい気持ちをそらせて禁煙に取り組みましょう。また、自分だけでは禁煙が難しいと感じたら、医師に相談するのがおすすめです。禁煙治療は、保険適用となる場合があります。

食事
悪玉コレステロールの低下を目的に、総エネルギー摂取量を制限します。とりわけ減塩を心がけた日本食メニューは、動脈硬化予防が期待できると推奨されています。

なるべく控えたほうがいい食品は、炭水化物や肉の脂身、バターなどの動物脂、果糖を含む加工食品です。マーガリンやショートニング、これらを用いた揚げ物、菓子も避けましょう。一方で野菜や海藻、大豆、キノコなどに含まれる食物繊維には、コレステロールの吸収を抑制する働きがあるのでおすすめです。

体重管理と内臓脂肪の減少
食事と運動を組み合わせて体重をコントロールしましょう。運動は、ウォーキングなどの有酸素運動を1日合計30分以上、週3回以上(できれば毎日)実施することを目指すと良いとされています。

3~6か月の間に体重かウエスト周囲長を3%以上減少できるようにすると、動脈硬化の予防に効果的です。たとえば体重80kgの場合は、マイナス2.4kgを目標に体重コントロールに取り組みましょう。1か月あたり800gずつの体重減少で、3ヶ月後に達成できると考えれば、精神的な負担が減るのではないでしょうか。

当院で動脈硬化の有無やプラークの状態を調べられます

当院では、動脈の状態をみる検査のひとつである頸動脈エコー検査を実施しております。

頸動脈エコー検査では、全身の動脈硬化の進行を評価することが可能です。また、血管の詰まりやプラークの状態、心筋梗塞や脳梗塞のリスクなども確認することができます。

検査では、超音波の伝わりをよくするために首にゼリーを塗り、プローブから超音波を当てます。被曝や痛み、苦痛などはありません。

頸動脈エコーで確認されたプラークについては、コレステロールの薬を飲むことで、ある程度は改善できる可能性があります。動脈硬化の不安がある方、健康診断などで医師に指摘されたことのある方は、ぜひ、当院までお気軽にご相談ください。

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