コラム

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一瞬の激しい痛み!一次性雷鳴頭痛の治療・鑑別・診断基準について

突然、雷が落ちたかのような激しい頭痛が起こって驚いた経験はありませんか?原因は「一次性雷鳴頭痛」かもしれません。

一次性雷鳴頭痛には、似た痛みが起こる重篤な疾患が存在します。そのため、「激しい痛みとはいえ一瞬のものだから……」と放っておかず、医師に相談することが大切です。そこで今回は、一次性雷鳴頭痛の概要や診断基準、突然激しい頭痛が起こったときに疑いのある疾患について解説します。

一次性雷鳴頭痛とは?

突然、雷が落ちたかのように起こる激しい頭痛を「雷鳴頭痛」といいます。その中でも一次性雷鳴頭痛は、頭痛内疾患の存在がなく、突然起こる重度の頭痛のことを指します。

一次性頭痛とは、脳のCTやMRI検査をしても異常が見つからない、いわゆる頭痛もちの頭痛のことです。一次性雷鳴頭痛は、一次性頭痛のひとつとして『国際頭痛分類第3版(ICHD-3)』にも記載されています。また、以前は良性雷鳴頭痛という名前で呼ばれていました。

一次性雷鳴頭痛の診断基準
『国際頭痛分類第3版(ICHD-3)』では、一次性雷鳴頭痛の診断基準を次のように定めています。

【A】BおよびCを満たす重度の頭痛がある。
【B】突然発症して、1分未満で痛みの強さがピークに達する。
【C】痛みは5分以上持続する。
【D】国際頭痛分類第3版(ICHD-3)にある病気で、ほかに最適な診断がない。

また、一次性雷鳴頭痛の症状は脳動脈瘤破裂時の頭痛によく似ているといわれます。脳動脈瘤破裂とは、くも膜下出血の主な原因で脳動脈の瘤(血管のふくらみ)がある日突然破裂することです。

こうした点から、「一瞬の痛みだから」という自己判断は危険なのです。重篤な疾患を見逃さないためにも、診断基準は参考程度の目安にとどめ、医師からの診断を受けましょう。

一次性雷鳴頭痛の治療と鑑別

残念ながら、一次性雷鳴頭痛には確立した治療法はありません。一次性雷鳴頭痛かもしれないと思ったときは、二次性頭痛(脳に何らかの病気があり起こる頭痛 )でないかどうかを確認し、原因を見極める鑑別が重要となります。

一次性頭痛疾患は、脳血管を含めた脳画像や脳脊髄液検査が正常で、すべての器質的原因が明確に否定された場合のみ診断されます。

雷鳴頭痛は、重篤な血管性頭蓋内疾患(特にくも膜下出血)にともなって起こることがよくあります。そのため、雷鳴頭痛の疑いがあるときは、くも膜下出血やくも膜下出血と同じ系統の疾患の可能性が必ず否定されなければなりません。

雷が落ちたような激痛が突然起こったときは、すぐに医療機関を受診しましょう。救急受診でも構いません。

雷鳴頭痛を引き起こす重篤な疾患
雷鳴頭痛を引き起こす重篤な疾患には、次のようなものがあります。

【頭蓋内出血 】
初期症状に激しい頭痛や嘔吐、しびれ、発熱、かぜのような症状などがあらわれるのが特徴です。頭を強く打ったときなどに起こりやすいですが、60%は何の原因もなくいつの間にか起こるとされています。命にかかわる問題なので、CT検査を受けてすぐに治療を受ける必要があります。

【脳静脈血栓症 】
脳から心臓へ戻る経路である、脳静脈や脳静脈洞の閉塞による脳血管障害です。頭痛のほか、嘔吐、けいれん、意識障害などの症状が出現することがあります。

【未破裂血管奇形 】
脳の中にとぐろを巻いたような、血管のかたまりのようなものができます。多くは動脈瘤です。正常な血管に比べて壁が薄くて破れやすく、脳出血やくも膜下出血の原因になることがあるとされています。

【動脈解離 (頭蓋内および頭蓋外)】
何らかの原因によって脳動脈の血管壁の中に出血が起こり、動脈壁が裂けた状態です。くも膜下出血や一過性の脳虚血発作、脳梗塞を引き起こすことがあります。

トイレやストレスで雷鳴頭痛が起こるRCVS(可逆性脳血管攣縮症候群)にも注意

雷鳴頭痛を繰り返す比較的新しい病気として、RCVS(可逆性脳血管攣縮症候群)があります。RCVSとは、雷鳴頭痛を発症しているときに多発性脳血管攣縮(脳の血管が収縮して血液の流れが悪くなる )をともなう疾患群です。

RCVSの場合、トイレでのいきみや精神的ストレス、大声を出す、咳をする、入浴などが引き金になって頭痛が起こることが多いとされています。また、1~2週間ほど頭痛発作を繰り返すことが多いのも特徴です。

RCVSによる頭痛の少なくとも半数は、二次性のものといわれています。そのため、この病気が疑われる場合には神経内科専門医の受診が推奨されています。

「トイレ中や入浴中に激しい頭痛がする」「ストレスを溜め込むようになってから、突然頭に激痛が走るようになった」といった思い当たりがある方は、医療機関で検査を受け、適切な治療を受けましょう。

激しい頭痛が突然起こったら、迷わずすぐに医療機関へ

雷鳴頭痛は、いわゆる頭痛もちに起こる「一次性」のものか、脳に何らかの病気がある「二次性」のものか、ご自身で判断することはできません。

重篤な疾患が潜んでいる場合は命にかかわることもあるので、雷が落ちたような激しい頭痛が起こったら、すぐに医療機関を受診しましょう。

頭痛で心配になったときには、神経内科の受診がおすすめです。早めに受診することで、深刻な状態にならずに済む場合もあります。当院では神経内科専門医が診察いたしますので、「おかしいな」と思ったら迷わずご相談ください。

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